肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)ってどんなもの?
肘部管症候群とは、肘の内側の後ろにある「肘部管」を通っている尺骨神経が何らかに圧迫されることにより、手のシビレや筋肉の痩せが発生する疾患です。
特に小指側にシビレが起こり、場合によっては感覚障害も発生することがあります。
放っておくと、手の甲側の筋肉が痩せてきて、思うように手が動かせなくなる場合もあるため注意が必要です。
結論を申し上げますと、肘部管症候群は尺骨神経が圧迫されている原因によって、手術が必要な場合と手術が不要な場合とがあります。
手術が不要な症例も多いので後述します。
肘部管症候群が発生する原因とは?
肘部管を通っている尺骨神経が圧迫されると、手のシビレが発生します。
尺骨神経を圧迫する原因として多いのが、肘の曲げ過ぎです。
肘を曲げ伸ばししていると良いのですが、曲げたまま長時間同じ姿勢になっているといけません。
肘を90度以上曲げると、肘部管に対して圧が加わり尺骨神経を圧迫してしまうのです。
特に教師の方や現場の方は、肘を曲げた状態で黒板に字を書いたり、作業をしたりしてしまうため肘部管症候群が発生しやすいです。
その他、尺骨神経に物理的圧迫が加わり、肘部管症候群が発生する場合もあります。
変形性肘関節症により骨棘(骨が変形してトゲのようになる)が発生したり、ガングリオン(関節付近に起こる良性の腫瘤)が肘部管に発生したりして、尺骨神経を圧迫することもあるでしょう。
肘部管症候群の典型的な症状について
肘部管症候群の典型的な症状は、肘部管部を押さえると手のシビレが出現する「チネル徴候」です。
チネル徴候は神経疾患でみられ、神経の圧迫部位を押さえると神経に沿ったシビレが発生します。
神経の圧迫部位を何回も押さえると、症状が悪化する恐れがありますので、自分では押さえないようにしましょう。
もし自分で確認したい時は、肘屈曲テストという方法があり、手をパーにして手首を起こした状態で肘を最大まで曲げます。
その状態で1~3分間キープし、手のシビレが出てきたら肘部管症候群の疑いがあるでしょう。
他の確認方法として、指交差テストという方法もあり、人差し指と中指を交差してみて、交差できなければ肘部管症候群の疑いがあります。
手のシビレは基本的に小指側で起こり、症状が強い場合は感覚障害も発生することも。
そして、尺骨神経は「母指内転筋」という筋肉を支配しているため、親指と人差し指の間に紙を挟んで引っ張ると、母指内転筋が動かずに親指が曲がってしまう「フローマン徴候」という特徴的な症状が現れます。
最後に、肘部管症候群を放置していると、手の筋肉が萎縮してきて鷲のような形になり、それを鉤爪変形(鷲手)といい、手の機能が著しく低下しますので注意が必要です。
肘部管症候群は手術が必要?
肘部管に物理的な圧迫がなく、肘の曲げ過ぎによって起こっている肘部管症候群は手術が不要なことが多いです。
逆に、骨棘やガングリオンなどのように、物理的な圧迫があるものは手術対象となります。
肘の曲げ過ぎで起こっている症例は、ストレッチやマッサージ(尺骨神経を支配している筋肉)、物理療法(医療機器を使った施術)、鍼施術(尺骨神経を支配している筋肉)などが有効です。
尺骨神経が物理的圧迫を受けている場合、施術を行っても改善される可能性は低いでしょう。
しかしながら、施術をして改善することも少なからずありますので、3ヶ月程度の経過観察を行ってから手術をしても遅くはありません。
まとめ
肘部管症候群は、絶対手術が必要というわけではありません。
症例によっては、手術が不要なことも多いので、一度お近くの医療機関にご相談ください。
物理的な圧迫をしている骨棘はレントゲンで写りますが、ガングリオンは写りませんのでMRI検査が必要です。
骨棘・ガングリオンともにエコー検査が有効なため、エコーがあるところを受診しても良いでしょう。
当記事が、皆さまのお役に立てれば幸いです。
ヒグチ整骨院・鍼灸院について
当院では、症状となっている原因を的確に特定し、根拠のある施術を心掛けております。
原因がわからなかったり施術範囲外の症状だったりした場合は、精密検査を依頼することもあります。
どこに行っても変わらない・ちゃんとした整骨院で施術されたい・関西圏にお住まいの方は、ぜひ当院にお越しくださいませ。
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